いものやま。

雑多な知識の寄せ集め

数学

ORの事例研究発表の難しさ。

9/9の週に名古屋でOR学会のシンポジウムや研究発表会を聴いてきた。 そこで興味深かった事例研究の話と、事例研究の発表がなぜ難しいのかについて書いてみたい。 配合計画 研究発表会の2日目には企業事例交流会として事例研究の発表がいろいろあった。 その…

PICOSで2次計画問題を解いてみた。

前回はPythonのPICOSというライブラリで計量学習の半正定値計画問題を解いてみた。 このPICOSを使って数理最適化 Advent Calendar 2023の1日目に扱われていた2次計画問題を解いてみる。 これは数理最適化 Advent Calendar 2023の5日目の記事です。 ※はてなブ…

半正定値計画問題と計量学習の話。(その2)

前回の続きで、計量学習の問題を実際にソルバーで解いてみる。 これは数理最適化 Advent Calendar 2023の4日目の記事です。 PICOS ここではPythonでPICOSというライブラリを使って解いてみる。 PICOSは最適化問題をいい感じに表現できるライブラリで、ソルバ…

半正定値計画問題と計量学習の話。(その1)

最近『異常検知と変化検知』を読んでたら思わぬところで半正定値計画問題が出てきたので、その話をしてみたい。 異常検知と変化検知 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)作者:井手剛,杉山将講談社Amazon これは数理最適化 Advent Calendar 2023の3日目の記…

技書博9で配ったフリーペーパーの話。

前回は技書博9にサークル参加した記事を書いた。 そこで配ったフリーペーパーの内容を貼っておこうと思う。 ちなみにここに書いた内容の元ネタはこれ: 論理の「AならばB」は実際には演算子で表現すると「A <= B」なんだけど、まずこれが知られてないのと、…

線形回帰と誤差の話。

機械学習の基本中の基本ともいえる線形回帰。 そんな線形回帰も「当たり前」に踏み込んで考えてみるといろいろ面白かったりするので、今日はその話をしてみたい。 これは数理最適化 Advent Calendar 2022の11日目の記事です。 線形回帰のおさらい たとえば気…

『エネルギー・リスクマネジメントの数理モデル』の紹介。

『エネルギー・リスクマネジメントの数理モデル』が面白かったので紹介。 エネルギー・リスクマネジメントの数理モデル (確率工学シリーズ)作者:誠, 田中,隆太, 〓嶋,重喜, 鳥海朝倉書店Amazon これは数理最適化 Advent Calendar 2022の7日目の記事です。 概…

競馬に関して最適化問題を解いた話。

ウマ娘から実際の競馬に興味を持って、最近はむしろ実際の競馬の方が面白いくらい。 そんな中でちょっと最適化問題を解くことがあったので、今日はその紹介をしてみたい。 これは数理最適化 Advent Calendar 2022の2日目の記事です。 的中したのにマイナス!…

ベイズ統計学を学んでみた。(その9)

前回は条件付き確率分布を定義した。 今日は、後回しにしていた分母が0の場合について議論しておきたい。 分母が0になる場合に関して あらかじめ断っておくと、これに関しては自分もまだ明快な答えが出せていない。 そのうえで、どんなことを考えているか書…

ベイズ統計学を学んでみた。(その8)

前回は周辺確率分布を定義した。 今回は条件付き確率分布を定義する。 固定化と条件付き確率分布 確率変数の同時確率分布に対して、をある値に固定したときのとの同時確率分布を条件付き確率分布と呼び、次のように定義する: なお、だが、ここではとなるで…

ベイズ統計学を学んでみた。(その7)

前回は確率変数が複数ある場合の確率分布や確率を定義した。 そこから派生する議論を今回からはしていく。 周辺化と周辺確率分布 確率変数の同時確率分布に対して、 関数を次のように定義する: つまり、に関して積分して元の関数(同時確率分布)からを取り…

ベイズ統計学を学んでみた。(その6)

前回までで確率変数が1つの場合の確率を定義した。 今回からはそれを複数の確率変数がある場合に拡張していく。 確率変数の数 実際に議論していく前に、確率変数の数について少し言及しておきたい。 複数の確率変数に話を拡げる場合、よくあるのは2つの確率…

ベイズ統計学を学んでみた。(その5)

前回は確率分布を定義した。 今回は確率を定義する。 確率 まず、集合の部分集合をすべて集めた集合を冪集合といい、で表すことにする: そして、確率変数の部分集合に対して、関数を次のように定義する: この関数を確率と呼ぶ。 確率分布は引数が「確率変…

ベイズ統計学を学んでみた。(その4)

前回は分布を定義した。 その中で、分布の値は比例尺度であり、本質的に同じ分布が複数あることに言及した。 今回はその対処を考えることで確率分布を定義する。 相似な分布 「分布が本質的に同じである」ということをもう少しちゃんと定義するために、相似…

ベイズ統計学を学んでみた。(その3)

前回は確率変数を定義した。 今回は分布を定義する。 分布 確率変数は起こりうる事象の集合だった。 となると、それぞれの事象がどれくらい起こりやすいかが問題となる。 そこで、確率変数の要素がどれくらい起こりやすいかを関数で表すことにし、この関数を…

ベイズ統計学を学んでみた。(その2)

前回はイントロで、今回から具体的な内容に入っていく。 確率論 ベイズ統計学を考えていくのに必要となるのが、確率論。 まずはこの確率論の基本的なところを押さえていきたい。 なお、高校数学の確率論だと、集合の要素数を使って確率を定義していく。 また…

ベイズ統計学を学んでみた。(その1)

機械学習をやってると、なにかと耳にするのがベイズ統計学。 数理最適化をやってきた身としては、正直どうなの?と思うんだけど、理解もせずに批判するのもアレなんで、ちょっと勉強して自分なりにまとめていきたいと思う。 一応、参考にした本は以下: しく…

天体ショーを整数計画問題で解いてみた。

ペンシルパズルの「天体ショー」を整数計画問題として定式化してソルバーを使って解いてみた。 これは数理最適化 Advent Calendar 2020の19日目の記事です。 天体ショー ペンシルパズルだとピクロスや数独が有名だけど、天体ショーもその一つ。 いろいろなペ…

「ロマ数本 発売記念イベント」に参加してみた。

数学にまつわる面白い話をプレゼンするイベントである「ロマンティック数学ナイト」。 そのオフィシャル本が発売され、発売記念イベントが開催されたので、参加してみた。 数学のロマンが詰まった 夜も眠れないほど面白い18の数学エピソード ロマンティック…

統計検定2級を受けてみた。

現在、就活中なんだけど、しばらく活動してみて全然ダメだったので、実績に少し箔をつけるために統計検定2級を受けてみた。 無事合格したので、どんな勉強をしたかなどを紹介したい。 統計検定2級とは 統計検定は、統計学に関する知識や活用力を評価する検定…

『0から分かる!ソート・選択アルゴリズムと資源配分問題』を読んでみた。

新型コロナの影響で技術書典8は中止になったけど、技術書典 応援祭が絶賛開催中。 そんな中で買ったねず宮ちんじろうさんの『0から分かる!ソート・選択アルゴリズムと資源配分問題』が面白かったので、紹介したい。 概要 アルゴリズムの基本とも言えるソー…

「3人の嘘つきのパラドックス」について考えてみた。

FGOのイベントで面白い問題が出てたので、それについて考えてみた。 「3人の嘘つきのパラドックス」 ここでいう「3人の嘘つきのパラドックス」(※一般にそういう名前があるわけではない)とは、次のようなもの: A, B, Cという3人がいるとする。 この3人は全…

『世にも美しき数学者たちの日常』を読んでみた。

『世にも美しき数学者たちの日常』が面白かったので紹介したい。 世にも美しき数学者たちの日常作者:二宮 敦人発売日: 2019/04/11メディア: 単行本 数学者ってどんな人なんだろう? 数学者といえば数学を研究している人のことだけど、そもそも数学を研究する…

『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』を読んでみた。

結城浩先生の新刊、『数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー』をさっそく読んでみたので、感想など。 数学ガールの秘密ノート/ビットとバイナリー作者: 結城浩出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2019/07/20メディア: 単行本この商品を含むブロ…

階段昇降問題を解いてみた。

事の起こりは、以下のツイート: 長男がいきなり「3歩進んで2歩下がる」と言って、次男が「ってことは、1歩しか進まないよね」と言ったので、「15段の階段で毎日『3歩進んで2歩下がる』を繰り返したら、何日目に15段目に着くか?」と聞いてみた。予想通りに…

ポーカーのオッズとアウツの話。(その3)

昨日はポーカー(テキサスホールデム)でアウツからオッズを計算する方法を説明した。 ポーカーのオッズに関する説明でよく見るのは、ここまで。 といっても、比の形で表されたオッズを使った計算は、ほとんど見たことがないけど。 さて、ここまでの話は、間…

ポーカーのオッズとアウツの話。(その2)

昨日はサイコロの賭けを題材にオッズの基本的な話をした。 今日はポーカー(テキサスホールデム)でのアウツの話と、オッズとの関係について。 アウツ 昨日はサイコロの賭けを題材にしていたけど、実際に考えたいのはポーカーでのオッズについて。 そのとき…

ポーカーのオッズとアウツの話。(その1)

ポーカー(テキサスホールデム)の理論的な話でよく出るのが、オッズとアウツの話。 それ自体は別に問題ないと思うのだけど、自分には納得いかない部分があったので、その話を。 ただ、そもそもオッズとアウツの話が分かっていないとよく分からないと思うの…

ポーカーでサンクコストを考慮してはいけない数学的な理由。

久々にポーカー(テキサスホールデム)をやって面白かったので、昔考えたことを。 サンクコストを考慮してはならない テキサスホールデムに関する理論を見ていると出てくるのが、「サンクコストを考慮してはならない」という話。 テキサスホールデムでは、ベ…

『数学する身体』を読んでみた。

『数学する身体』が気になったので、読んでみた。 数学する身体作者: 森田真生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2015/10/19メディア: 単行本この商品を含むブログ (17件) を見る 概要 数学は高度に抽象化され、もはや現実の世界に縛られることなく、論理の世…