いものやま。

雑多な知識の寄せ集め

文フリ東京29にサークル参加してきた。

f:id:yamaimo0625:20190621155528j:plain

11/24(日)に開かれた文フリ東京29にサークル「いもあらい。」で参加してきたので、そのふりかえり。

技術書典7への参加でのふりかえりをいろいろ活かしてみた。

同人誌制作

まず、同人誌制作に関して。

jlreqの利用

今回も \TeXを使って作ったんだけど、jsclassesではなくjlreqを使ってみた。

これは縦組に対応したまともなドキュメントクラスがこれくらいだったからなのが大きかったのだけど、結果的にはとてもよかった。
見出しなどのカスタマイズが普通に比べてだいぶ楽にできた。

jlreqを使ったカスタマイズの概要は以下も参照:

いろいろ知見が得られたので、どこかでまとめたい。

漢字表記の対策

また、漢字を開くかどうか迷うことが多かったので、以下の同人誌を参考に、『NHK漢字表記辞典』を買ってみた。

NHK漢字表記辞典

NHK漢字表記辞典

この表記辞典にそのまま従うということはあまりなかったけど、気になったときに参考にできるものがあるのはすごくよかった。
物理本なので持ち運ぶには向いてないけど、一冊持っていて損はないと思う。

脱ダウンロードカード

あと、ダウンロードカードをやめて、本文中にダウンロードURLとzip解凍パスワードをつけるようにした。

理由は、ダウンロードカードを追加で作るのはコストもかかるし、持っていくのをうっかり忘れる危険性もあるから。
(実際、今回会場で「あれ? ダウンロードカード入れたっけ?」と焦った)
それに、ダウンロードカードを渡す手間もなくなる。

欠点としては、物理本が売り切れたときにPDFだけ売るとかはできなくなる。
ただ、ダウンロードカードでPDFだけ売るのもリスクが高いと思っていて、というのも、もし(ダウンロードカード)<(物理本)となったらどうするのかという問題があるから。
それだったら、PDFだけ欲しい場合はQRコード読んでもらってBOOTHからPDFを購入してもらう方がよさそう。

技術書典7ではダウンロードカード用のパスワードを自動生成してzipに圧縮するツールを作ったけど、今回のように本文中にパスワードを書く場合、パスワードの生成とzip圧縮は別々にできる必要がある。
そこで、ツールも少し修正した。

校正

前回、校正でかなり苦しんだので、今回は観点を固定してやるようにしてみた。
一つのことだけ気にすればいいので、この方が楽な感じがした。

印刷

今回も印刷はねこのしっぽさんにお願いした。

オンデマンド印刷

たくさん売れるような本ではないので、オフセット印刷ではなくオンデマンド印刷を使ってみた。
どんなもんかと思ってたけど、正直、素人目にはオフセット印刷と区別がつかない、いい出来だった。
これなら今後もオンデマンド印刷で全然よさそう。
(よほどの冊数を刷らないと、オンデマンド印刷の方がずっと安い)

表紙

それと、表紙にタント紙(画用紙と思えばいい)を使ってみた。
タント紙、めっちゃいい・・・
よく表紙に使われるホワイトポストに比べるとやや薄く、やや弱い感じではあるけど、やさしい手触りと、凹凸ある紙面への味のある印刷がとてもいい。
マットPP加工のように追加料金もいらないし。

白紙ページ

前回、「〜のページは白紙でいいですか?」というやりとりが発生したので、あらかじめ「〜ページは白紙です」ということをフォームで伝えておいた。
これで今回は何の問題は発生せずに一発入稿!
今後も忘れずに伝えるようにしよう。

イベント参加

一人での参加

今回は一人で参加してみた。

一人だとやっぱりいろいろ大変。
トイレ休憩とか。
まぁ、「休憩中」って札を立てて行くだけなんだけど。

技術書典7では「おっさんレンタル」でレンタルしたおっさんに売り子を頼んだというのを見かけたので、これも一つの手かなと思ってる。
(同人誌制作や頒布に興味ある友達がいれば手伝ってもらってもいいんだけど、そうでないとなかなか頼みづらい・・・)

設営/撤収チェックリスト

技術書典7では設営/撤収のタイミングで頭が真っ白になったので、あらかじめチェックリストを作って参加してみた。

作ったチェックリストはこんな感じ:

f:id:yamaimo0625:20191128145944p:plain

これのおかげでフリーズすることなかったので、よかった。
クリップボードがあればもっとよかった)

そして、実際に使ってみるとやはり改善点が見つかった。
そこで改善点を反映してみたのがこれ:

f:id:yamaimo0625:20191128150029p:plain

  • ダンボールを開くときに梱包材とかが出てくるけど、片付ける場所を用意しておかないと邪魔になる。
    なので、あらかじめゴミ袋を用意するようにした。
  • ポスタースタンドを早めに立ててしまうと、かなり邪魔になる。
    なので、最後の方に立てるようにした。
  • 見本誌を用意するときもスペースが欲しいので、ディスプレイ棚の組み立ては見本誌作りの後にした。
  • ポスタースタンドは邪魔になるので早めに片付けるようにした。
  • 宅急便の締め切りの時間があるので、宅急便は早めに送るようにした。

これで問題ないかは、次のイベントで試してみて確認する予定。

マーケティング

今回は、これまで出していた『哲学散歩道』シリーズと『ゆうら』を一冊にまとめて、ちゃんとした印刷所さんで印刷したものが欲しいという動機で本を作ったので、マーケティングは度外視の部分はある。
まぁ、想像以上に売れなくてちょっとヘコんだけど。
とはいえ、最高の本が出来たことについてはすごく満足してる。
これぞまさに「自分のために書いた本」という感じ。

とはいえ、いろいろ思ったこともあるので、それについて。

市場破壊

今回強く思ったのはこれ。
文フリ、市場ぶっ壊れすぎ。

左隣のサークルは、中綴じの薄い本とはいえ1冊100円で売っていて、終わった頃に「うん、会場代くらいはペイできたね」とか言ってるし(印刷代は?)、右隣のサークルに至っては「感想くれればタダでいいです」と冊子を無料配布・・・ペーパーならまだしも、おもちゃみたいな小さくオシャレな本を無料配布って、それでいいのか?
近所のサークルではけっこうな分厚さの本を1,000円で売ってたり、え、それ原価回収できてるの?という感じ。

そんな中にあって、自分の2,000円の本がどれだけ手に取られないことか。
今回、B4のポスターをちゃんと作って、それはけっこう目を引いてたのが見てとれたんだけど、視線が少し下がって値段見たあとにぷぃっと離れていくことが何度もあった。
見本を読んでから値札を見て離脱するケースも。
じっくりと読んでから「よく出来てますね」と言ってくれたけど、購入には至らないケースも。
いや、その感想自体はめっちゃ嬉しいんだけどね(^^;

購入側からしたら、値段が安い方が嬉しいというのは分かるんだけど、購入側が得してる分、販売側がかなり費用を負担してる感じがした。
まぁ、趣味でやってるから収支がマイナスでも全然いいのは分かるんだけど、サークル参加側が苦しくなるような場は継続性が難しいと思うんだけど・・・それに、妥当な価格の本も足切りされてしまう場になってしまう。
デフレ経済、よくない。

とりあえず、自分は文フリには今後サークル参加しないと思う。

薄い本は正義

それはそうと、やはり薄い本は正義だよなと思った。
値段も安くできるし。

今回は自分の作りたい本を作るのを優先したけど、一から考えて書くなら、値段の上限を決めて、そこからページ数を逆算して、その中に収まるように書くのがよさそう。

そして、値段の上限については、「信用」と同じで有名かどうかで判断する感じなんだろうなと思った。
極端な話、同じ内容の本でも、有名な人と無名な人とではつけられる値段が違う・・・

有名な人は少なく、無名な人は多い。
だから、有名な人から欲しい本を探すのは楽だけど、無名な人から欲しい本を探すのは大変。
そこで、有名な人の本は楽に見つかるから高くても問題ないけど、無名な人の本は見つけるのが大変な上に高かったら買ってもらえない。

おそらく、次の公式が成り立つ:

(有名人の人数)×(有名人の本の値段上限)=(無名人の人数)×(無名人の本の値段上限)

たぶん、本の内容がいいかどうかより、こちらの方がインパクトがデカい。
どんなにいい本を書いても、書いた人が有名じゃないと売れない。
だって、どこの誰とも知らない人が書いた本なんて、信用がまるでないわけで、しかもそういう本は無名な人の分だけあるわけだから、一つずつ評価もできないし。

なので、本の出来をよくしていく努力はもちろん必要なんだけど、現状での周りに対する信用から本の分量の上限を決めて、その中で価値を提供して信用を高めていく感じなんだろうなぁ。


宣伝!
『哲学散歩道』と『Math Poker Girl』はBOOTHでも頒布してるのでよろしくお願いします!

今日はここまで!