いものやま。

雑多な知識の寄せ集め

技術書典7にサークル参加してきた。(気づき編)

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昨日は当日の様子を振り返った。

今日はいろいろ気づいたことをまとめてみたい。

チェック数の推移

まずはチェック数の推移に関して。

最初は毎日チェックしていたわけではないので、大雑把な数字。
途中からは大体寝る前(23時くらい)の数字のはず。

日付 曜日 チェック数 増分
9/1 23 -
8 26 +3
9 29 +3
12 33 +4
13 34 +1
14 36 +2
15 39 +3
16 42 +3
17 43 +1
18 56 +13
19 57 +1
20 62 +5
21 72 +10
22 90 +18

見ての通り、ビックリするほど増加が少なかった。

@yagitchさんの9/1の、

というツイートを見て「おっ、これなら最終的にチェック数200くらいいくのかな?」と思ってたら、そのあと全然伸びなくて、9/8だと

と「これは150も怪しいんじゃないかなぁ」くらいになり、9/15で

と「これはギリギリ100いくかいかないか」という感じ。

というツイートが9/15にあったけど、自分の場合は最終的にそこから2倍強といったところだった。

前日、当日の伸びもそこまで凄いものではなく、結局90止まり・・・

運営は否定してるけど、やはりこれだけサークル数が多くなってくると、一覧で見たときに上の方にあるかどうかがかなり影響してるんじゃないかなという気がしてる。
自分は「え23C」でだいぶ上の方にあったので最初の方にチェック数がそれなりに増え、そのあとは最初の増え方と比較して増加が鈍かったんじゃないかなぁ、と。
なので、最初の頃の予測を大きく外れることになったのではないかなと思う。

そして、ページ数が多かったので締め切りは9/11(水)で、念のために9/10(火)には入稿してたので、「うーん、分からんけど、これからチェック数が伸びることを信じて200刷るか。そうすれば完売するとかもないだろうし・・・いや、300刷っても原価回収するのに必要な冊数は10冊強しか違わないなら、300でもいいかな」とか考えた自分はホントになんだったのか・・・

そのあとチェック数が全然伸びず、最終的には90にしかならなくて真っ青になったのは言うまでもなく。。。
あたしって、ほんとバカ

ちなみに、18日にグッとチェック数が増えてる理由は謎。
Cホールの推し祭りがあったのは17日・・・(推し祭りでは全然増えなかった)

売り上げ

そして、実際にどれだけ売り上げたのかというと、69冊(書籍+ダウンロードカードのセット)・・・
チェック数にも届かなかった・・・

一応、印刷費が約14万円で、1セット2,000円で売っていたので、ギリギリ印刷費は回収できた感じ。
ただ、参加費や交通費、備品を買う経費、それに宅急便で搬出した費用などを考えると完全に赤で回収しきれてない。
工数も考えればタダ働きもいいところ・・・(まぁこれは仕方ないところはある)

幸い、内容が数学なので陳腐化することはなく、それこそ5年後や10年後、あるいは(実質的に中身は論文でおそらく世界初の仕事なので)30年後にも意味のあるものだから、息長く売っていくことは出来るけど。
とはいえ、あの重たい本を運ぶのはツラい・・・

テーマとページ数と値段

テーマ選びに関しては、一度振り返りをしてる:

これに加えて気づいたことがあったので、それについて。

今回の本では、ポーカーと数学という2つのテーマを追っていた。

自分は「ポーカーに興味のある人が数学にも興味を持ってくれたら嬉しいし、数学に興味のある人がポーカーにも興味を持ってくれたら嬉しいな」と「OR」の効果を狙ってた。
そのために、1章使ってポーカーのルールから説明したし、数学も必要最低限な内容を道具として使うに留まっている。

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けど、実際には「AND」の対象ーーすなわちポーカーにも数学にも興味のある人しか手に取ってくれなかった。

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ポーカーに興味はあるけど数学に興味がない人は「数学」となった時点で「じゃあいいや」となってしまったし、逆もまた然りだった。

読む対象を増やすつもりでテーマを複数にしたのに(そして実際、片方が初心者でも読むことが出来るように書いている)、それによって逆に読む対象を狭めてしまった。
これが大きな失敗だった。

複数のテーマを採用すると、ターゲットは「OR」ではなく「AND」になる。

これが自分にとっては大きな気づきだった。
当たり前と言えば当たり前だけど・・・

なので、基本的にはテーマは1つに絞った方がいい
もし複数テーマを扱うなら、その場合は「AND」を想定した作りにする

今回の『Math Poker Girl』なら、以下のどちらかにすればよかったと思う:

  1. テーマをポーカーに絞ってルール説明とどこで遊べるのかの具体的な説明や実際に遊んできたレポートなどにする
  2. 「AND」を想定してポーカーのルール説明などは省いてポーカー界の常識がどれだけ根拠がないものかだけを示す

こうすると何がうれしいのかというと、

  1. ページ数が少なくなる
    「OR」のための説明が不要になるので、ページ数を抑えてピンポイントのターゲットに説明できる。
  2. 値段が安くなる
    ページ数が少なくなれば、当然値段も安くなる。
    値段が安くなれば、手に取ってもらいやすくなる。
  3. 読者が本を取捨選択することが可能になる
    複数テーマが1冊にまとまっていると、それを選ぶという選択しかない。
    けど、それが例えば2冊に分かれていれば、片方だけ読むことも可能だし、両方読むことも可能になる。

なので、「OR」のターゲットに本を届けたい場合も、本を2冊に分けて、それぞれでテーマを絞った方がいい。

ページ数が少なくなれば工数も減らせるし、重たさも減るし、著者にとっても嬉しいことが多い・・・
「あれもこれも説明が必要だろう」とついつい説明を盛り込んでしまう「OR」の誘惑を振り切る勇気が必要。
もし説明が必要だと思うなら、それは別の本に分ける。

エレベーターピッチ

エレベーターピッチは「エレベーターで偶然偉い人にあったときに、短いスピーチでプレゼンしてアピールする」ということ。
そこから転じてアジャイル開発手法では「短い言葉での製品のウリを説明する」ということが行われる。
そうすることでプロダクトの価値が明確になるから。

で、なんでここでその話が出てくるかというと、短い時間にその本のウリを説明するのってめちゃくちゃ重要だよなと自分自身が買い物してて思ったから。

店番をお願いしてるので出来るだけ短い時間で回らないといけないわけで、そうするとやはり「キーワード」が目に入ってくる。
圏論」とか「グレブナー基底」とか「CSS組版」とか。
そういったキーワードで手に取るかどうかの判断が変わってくる。
だから、その本の扱ってる内容/ウリを説明するキーワードを列挙しておくというのが、エレベーターピッチに繋がるプレゼンと言えるかなと。

『Math Poker Girl』の場合は「どうやったらポーカーに勝てる?」みたいな煽りは入れてたけど、具体的なキーワードの列挙はしてなかった。
なので、お客さんから見たら「ポーカー」や「数学」は見て取れるけど、じゃあ数学のどの分野なのかとかはさっぱりで、惹きつける力が弱かったかなぁと。
まぁ、応用数学なので数学を道具として使っていてそういったキーワードを出すのが難しいというのもあったけど・・・

でも例えば、

とかのキーワードが並んでいたら、ただ「数学」ってなってるよりもずっと多くの情報を伝えられたかなと思う。
(ただ、強化学習自体の説明をしたり、強化学習を使って学習したわけではなく、強化学習で使われる状態遷移モデルを使って考察を進めているだけなので「強化学習」と書いてしまうとちょっとウソになるし、数理最適化もやはりバックグラウンドで使っただけでそれ自体の説明はしてないのでやはりウソになる・・・このあたりが応用数学の難しいところ)

ラーメンを食べたい客にはラーメンを出す

で、やっぱり売ることを考えたら、流行のジャンルの本を出すのが一番いい。
キーワードだって目につくし。

ラーメンを食べたい客がいるなら、ラーメンを出すべき。
いや、ソバも美味しいんだよと会心のソバを用意しても、「いや、今はラーメンの気分なんだよ」と言われたら売れない・・・

まぁ、「書きたいこと vs 読みたいこと」にも書いたとおり、難しい問題なんだけど。

ただ、一つ重要なことに売れるかどうかは内容よりも市場の大きさで決まるというのがある。
これは転職とかも同じで、給料は仕事の内容よりも市場の大きさで決まるらしい。

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

なので、本の内容をよくするのはもちろん、ターゲットとなる市場のサイズが出来るだけ大きくなるようにテーマを調整するのも重要なのかもしれない。


技術書典7にサークル参加してみての振り返りはこんなところで終了。
この経験を次回以降に活かしていきたい。

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『Math Poker Girl』はBOOTHでも頒布してるのでよろしくお願いします!
上にも書いた通り、ポーカー知らなくても読めますし、数学詳しくなくても読めます!

今日はここまで!