いものやま。

雑多な知識の寄せ集め

小説の書き方に関して。

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『Math Poker Girl』を書くまえに小説の書き方の本を何冊か読んだ。

これらの内容が『Math Poker Girl』に活かされたかというとかなり微妙なんだけど(『Math Poker Girl』はスタイルが小説なだけで実際には技術書ーーというか論文なので)、いろいろ気づきもあったのでまとめておきたい。

小説は虚構である

一番大きな気づきはコレ。
小説は虚構であるということ。

そもそも小説というものは、どれほど真実に基づき、どれほど正確に言葉を尽くしたところで、結局のところただの文章であり実在しない偽りを語っているのである。
(『ラノベの書き方』より引用)

いかにも本当らしいことが書かれていても、それは作者の想像力がつくりだした虚構であって、現実そのものではない。
(『小説の書き方』より引用)

これは当たり前ではあるのだけど、そこに自覚的になることでいくつかのことが言えるようになる。
(本ではそれが説明されている)

まず、面白さは重要だということ。
虚構なのだから、現実にこだわる必要はない。
面白くなるようにいくらでも手を加えられるし、逆に面白くなければ意味がない。

現実だとお話のようには上手くいかないものだけど、そんなのは読者は求めていない。

読者が求めているのはリアリティであって、リアルではないのだ。
(『ラノベの書き方』より引用)

それに、事実をそのまま書いたものはドキュメントや記録でしかない。
そこに嘘か本当か分からない虚構を入れることにより小説になり、面白さも生まれる。

小説は事実よりも奇なりでなければ、小説の価値はない。
(『小説の書き方』より引用)

とは言え、「リアリティ」は求められていることに気をつけないといけない。
その作品世界の中での一貫性はないと、真に迫れない。

そして、虚構だからこそ本物より本物らしく描け、そこにリアリティが生まれることになるというのが非常に面白い。

女形(おやま)の正体は男であるが、女を女以上に研究しているので、本物の女よりも女らしく見える。
小説のリアリティとはまさにそのようなもの(省略)。

この偽物であるがゆえに本物より本物らしく出来るというのは、Fateを思い出した。

「偽物が本物に敵わないなんて道理はない」
衛宮士郎、『Fate/stay night』より)

ある出来事をそのまま描くのではなく、それを分解して理解し、再構築して描き直すことで、そこには虚構が織り交ぜることが可能になり、本物よりも本物らしくなれる。
(逆に言えば、そこが甘いとリアリティが得られないことになる)

例えば、ある事件をテーマに小説を書くとして、ドキュメントや記録ならそこに登場人物の心情なんか挟まらないし、そもそも知ることなんて出来ない。
けど、小説なら虚構だから、それが出来る。
さもその登場人物がそう感じたかのように心情を描き出すことが出来る。
あるいはさらに面白い展開に変えることも出来る。

この小説の虚構性を理解しそれを乗りこなすことが肝心だと思った。

小説を書く流れ

では、実際にどう書いたらいいのかということで、『ラノベ書きが教える小説執筆術』では妄想を膨らまして小説に仕立て上げる方法が紹介されていた。

  1. 妄想する。妄想をメモる。
  2. 妄想から設定を作る。世界観などにも設定を広げる。
  3. 妄想を脳内で映像化する。いろんなシーンを考えてキャラが勝手に動き出すくらいまで。
  4. 妄想したシーンを実際に文章にしてみる。書きたいところから書けばいい。設定を文章に盛り込むといい。
  5. 複数のシーンを並べてみる(簡易プロット)。シーンが足りなければ妄想を追加する。
  6. 妄想の隙間を埋める。(物語の導入を書いたり不足している説明を入れたり)
  7. ラストを書いて終わらせる。

妄想もやはり虚構だから、虚構を描き出すというのが小説の本質と分かる。

基本的には以下のようにするといいと思った。

  1. 妄想するなり取材するなりで、書きたいものを見つける。
  2. キャラを作る。
  3. ストーリーを考える。
  4. プロットを書く。
  5. 執筆する。

キャラの作成

『小説の書き方』では、人間不在の小説はありえないことが指摘されていた。
「小説は人間を描くである、ただし、それは作者が作り出した架空の人物とその人生である」と。

設定をいろいろ考えていくとよくて、特に「こういうシチュならこのキャラはどう動くだろう」とか「この質問にこのキャラならどう答えるだろう」というのを考えておくとキャラが掴みやすいと『ラノベの書き方』には書かれていた。
ラノベ書きが教える小説執筆術』の「妄想を脳内で映像化する」というのもこの作業と同じ効果があるんだと思う。
キャラが勝手に動き出せばこっちのものという感じ。

『小説の書き方』では「パーフェクトな人間は魅力がない、どこか壊れているキャラの方が人間として共感できる」ということが書かれていた。
確かに、何か弱点があったり、一点特化型のキャラの方が面白いし、そういうラノベも多い。
そういう人間が近くにいたら正直困るけど、所詮は物語の中のキャラなので読者は対岸の火事を見物するように楽しめるということも書かれていた。
これも小説の虚構性のなせる技。

あと、キャラ名の付け方に関しては『ラノベ書きが教える小説執筆術』にいくつかヒントが書かれていた。
アナグラムを使ったり、よく知らない外国語からとってきたり(Google翻訳使うと簡単)、有名人の名をもじったり。

ちなみに、『Math Poker Girl』のフィネスはFateのライネスからとってきたものだし(というかキャラはまんまライネス師匠)、ヒロアキ孔明(こうめい)を日本人の名前っぽく読んだだけだったりする・・・(ヒロアキのモデルはウェイバーで、一人称がボクなのはそのせい)

ストーリーの作成

ストーリーを作るときは「戦い」を考えるといいと『ラノベの書き方』に書かれていた。
これは言葉通りのバトルだけでなく、恋愛も一つの戦いだし、仕事も戦いだし、いろいろある。
とにかく困難があり、それにぶつかることでストーリーが生まれる。

なお、キャラとストーリーで対立することがあった場合、キャラを大切にした方がいいとのこと。
キャラを魅せるためにストーリーがあると考えればいい。

プロットの作成

プロットは小説の設計書。
いろいろな書き方があるけど、『ラノベの書き方』には以下を書くといいとされていた:

  • テーマ
  • 登場人物、各種設定
  • ストーリーの流れ
  • 対象とする読者
  • どこが面白いのか

キャラの作成やストーリーの作成が読者のためにやるものだとしたら、プロットの作成は作者のためにやるものとのこと。
外部設計と内部設計のように考えるといいのかも。

プロットをしっかりと作っておくことで、実際の執筆のときにプロットを見ればブレることなく執筆できる。

とはいえ、実際に書いてたらプロットから外れることはある。
(これはプログラミングと同じだと思う)
そのときはキャラを殺さないように、そして作品内でのリアリティ(一貫性)が損なわれないように、調整していくことになりそう。

執筆

文章には「説明」と「描写」の二種類があると『小説の書き方』では指摘されていた。
説明は客観的な記述であるのに対して、描写は筆者の主観が入ったものとなっている。
小説はほとんど描写によって書かれていて、それゆえ虚構が織り交ぜられることになる。

ラノベの書き方』ではこれがさらに「状況」「心情」「会話」に分けられることが書かれていた。
このとき、地の文となる状況や心情には(その作品世界の中での)嘘は入れてはダメだけど、会話には嘘が入ることがあると指摘されていた。

この辺りの違いも意識して書けるとよさそう。

今日はここまで!