未踏ジュニアの最終成果報告会が11/3(祝)にあったので、今年も見てみた。
動画は以下から:
去年、一昨年の記事は以下から:
感想
毎年同じこと言っていてなんだけど、やっぱり今年も面白かった。 レベルの高さに毎年驚かされるよね。
そんな中でも特に言及したいのは、以下の2つ:
GIGAスクール構想
いくつかの発表でGIGAスクール構想の話が出てきて、それがとても興味深かった。
GIGAスクール構想についてこれまでネットで見たのは、配られたPC、タブレットが貧弱で使い物にならないという批判だけだった。 これは実際そういう部分もあるのかもしれないけど、でも今回の発表を見ていると、裾野を広げるという意味でけっこう意義があったんじゃないかなと思う。 なんかネットを使った調べ物学習とかもあるようで、そのように実際に体験しながら学ぶ経験って重要で、今までだとPCやタブレットを買い与えるような家庭でないとなかなかそういう経験はできなかったわけだけど、それをどの生徒も触れられるというのはとてもいい。 意見が偏らないようにするためにネットリテラシーを学んだり、引用のやり方を学んだり、ホント重要よね。
ちなみに、なんかiPadも30%弱配られてるというのは知らなかった:
下を見れば貧弱なものが配られてるケースもありそうだけど、教える側がちゃんとしてればマトモなものが配られてるのかもしれない。 いやもちろん、コストとのバランスもあるし、税金が使われてるだろうから、どう配分するべきかというのは難しい問題なんだけど。(ただ、ゴミを高値で売りつけるようなメーカーはダメだと思う・・・)
一方で、これを教えないといけない先生も大変だなというか。 なんというか、こういう体験させる学習ってこれまでの「教える」とは違って、「導く」というか、コーチングの力がかなり要求されると思う。 主体は生徒で、先生はそれを支えて方向性を示すだけ。 その変化についてこれるかどうかって、かなり個人に依存してしまいそう。 これまでも教え方の上手い先生/下手な先生みたいなガチャがあったけど、これからはその差がもっと開くことになってしまうかもしれない。
アジャイルな開発
あと、ユーザテストを行ってフィードバックをもらい、それを改善につなげるというのを多くの人ができてたのが印象に残ってる。 ちゃんとしたアジャイルのプロセスに乗っかってるわけではないけど、考え方はアジャイル開発のそれで、とてもいいと思った。
やっぱり「自分の作りたいものを作る」っていうのは、重要なんだと思う。 作りたいものを作るから当然ドッグフーディングもするし(というか自分自身がまず一番のユーザ)、より良いものにしたいから他の人にも試してもらって意見をもらい、改善していける。 仕事のプログラミングだとなかなかそうできなかったりするけど、やっぱりいいものを作りたいと思えるようなものでないと、やる気出ないよね。
印象に残った発表
あとは印象に残った発表をいくつか紹介:
マークみっけ!for SDGs
SDGsに興味を持ってもらうために、関係のあるマークを宝探しのように探せるアプリを作ったという話。 作ったのはなんと小学5年生の女の子。 凄い・・・
ちゃんとアプリとして仕上げてる時点で凄いんだけど、前述の通りユーザテストをやって改善を行い、UIがとてもよくできてる。 また、これまた前述のGIGAスクール構想のタブレットを使って自身が授業を行ったりも。 いやホント凄い。
Web個展 - Webであることを活かしたオンライン展示形式の模索
絵画の個展がWebでできたらいいんじゃないかと試した話。
きっかけはコロナで個展を見に行けなくなったことで、Webで個展を見れたらいいよねと思ったからとのことなんだけど、単にWebに移しただけだと、それってコロナが落ち着いたら普通の個展でいいよねとなってしまう。 そこで、Webだからできることってなんだということを考え、いろいろ試したとのこと。
これはすごく興味深くて、わざわざWeb上で実現するなら、現実を超える必要があるんだと気づかされた。
たとえば、これはWebじゃなくてコンピュータの話だけど、「デスクトップ」は机のメタファーから誕生してる。 けど、今のmacOSならスワイプすることでデスクトップを切り替えられるようになっていて、それって現実だと無理なわけで。 そういう意味で、今のデスクトップはもはや現実を超えてると言えそう。
そんな感じで、どうやったら現実を超えられるのかと考えるのは、思考の方向性として一つ有効なのかもしれない。
mock up: 動画編集ソフトウェアフレームワーク
動画編集ソフトを作ったのではなく、動画編集のバックエンド(ffmpeg)を叩くための中間言語とその周りのフレームワークを作ったという話。 これによっていろんなアプリから中間言語を投げるだけで簡単に動画編集ができるようになると。
もうその発想がなるほどというか。
インタフェースを用意することでいろんな組み合わせが可能になるというのは、たしかに定跡としてある。 たとえばWSGIやRackはバックエンドのアプリとWebサーバの間にインタフェースを用意することでいろんな組み合わせを可能にしたりとか。
けど、同様に動画編集でもインタフェースを用意すればいろいろ便利になるというのは気づかなかった。 たしかに、動画編集が主目的でないアプリからちょっと動画をいじったりしたいというのはちょくちょくありそうで、目の付け所が鋭い!
あとはこういう仕様ってデファクトスタンダードが取れるかどうかが重要になってくると思うので、なんとかその地位を勝ち取ってほしいと思う。
>>Anyget/掲示板形式小説執筆支援ツール
掲示板形式の小説を書くために、テンプレートを吐いたりしてくれるツール。
そこまでスマートなわけでもないし、すごくニッチなツールなんだけど、「これが自分の作りたいもの!」というのが溢れ出てるのが面白かった。 実際、これを使って小説も書いてるみたいで、中には週間ランキング3位とかとった作品もあるとか。凄い。
個人的には発表に古いインターネットでのネタが見られて、それが楽しかった。 「>>Anyget」というのも「>>2get」が元ネタらしい。 そういう古の文化もなんだかんだで伝わってたりするんだなぁ・・・
他にも凄い作品がいろいろあるので、それらはぜひ動画で。
今日はここまで!