以下の記事の中で、最近TRPG熱がちょっと上がっているということを書いた。
で、ゲムマ2018秋に参加したとき、これどうなんだろうね、と仲間内でちょっと話に上がったのが、『のびのびTRPG』。
キャラやシナリオを用意する必要もなく、GMも不要(持ち回りで担当する)で、サクッと遊べるようになっている。
このときは、買っても遊べるかどうか分からないし、ということでスルーしたのだけど、よく見たら、一人用のルールも用意されてた。
これならぼっちでも遊べるw
なので、買ってみようかな、と。
シリーズとしては、「無印」(ファンタジー)、「ザ・ホラー」、そして新作の「スチームパンク」の3つが出ている。
自分はクトゥルフとか好きなので、「ザ・ホラー」を買ってみた。
- 出版社/メーカー: アークライト
- 発売日: 2017/08/26
- メディア: おもちゃ&ホビー
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ルール概要
まずはキャラの選択。
何個かのキャラがあらかじめ用意されているので、好きなキャラを選べばいい。
各キャラには、判定に使う「力」「技」の能力値と、判定を有利にするための「スキル」が用意されている。
キャラを選んだら、イントロダクションのカードをランダムでピック。
これで物語が始まる。
ここからは、1人がGMを、その左隣が場面PCを、持ち回りで担当していく。
GMは場面カードを1枚引き、内容を読み上げ、場面PCはその解決に挑む。
このとき、他のPCは場面PCをサポートしたりする。
そして、うまく解決できれば光カードを、失敗したら闇カードをゲットする。
これらのカードにはスキルやボーナスが書かれていて、今後の判定を有利に出来たりする。
そして、各自が3回場面PCを担当したら、いよいよクライマックス。
クライマックスのカードをランダムにピックして、全員でこの解決に挑む。
無事、解決できるのか、それとも・・・
と、まぁ、こんな感じ。
光カード/闇カードの公開タイミング
ちなみに、光カード/闇カードは、手に入れたら表の状態で手元に置いておこう、というのが公式のルールなんだけど、試し回ししたときとか、リプレイ動画とか見てると、なんか微妙にテンポが悪い・・・
というのも、光カードや闇カードには、NPC(例: 猫)やアイテム(例: ショットガン)、あるいは、属性(例: 海外育ち)が書かれているんだけど、NPCやアイテムならともかく、属性を入手した場合、それまでの場面との繋がりがよく分からないから。
例えば、「バリケードをぶち破ろうぜ」という場面になって、見事成功し、光カードを引いたら内容が「海外育ち」であった場合、「ふぅ、無事バリケードをぶち破れたぜ・・・っと、俺は実は海外育ちだったのかぁあああ!」となったりする。
なんじゃそりゃw
ということで、バリアントのレギュレーションとして、引いた光カード/闇カードがNPCやアイテムでなかった場合、クローズで手札に持っておき、スキルを使ったりボーナスをつける場面で「実は俺、xxxなんだよね」と初めてオープンにする、としてもいいんじゃないかな。
ぼっちルール
さて、ぼっちで遊ぶ場合は、引いたカードをもとに物語を書く、という遊びになる。
基本的な流れは通常ルールと同じなんだけど、キャラが1人なのでサポートが得られないということから、判定の目標値は-4し、場面は5回行う、としている。
また、クライマックスは多人数で解決するようにデザインされているので、クライマックスでは判定を行わない、としている。
そして、場面の内容をツイートしたり、短文として執筆して、書き終わった物語を見返してニヤニヤしよう、とw
ということで、やってみたw
試しに1回やったときは、判定の目標値を-4にするのは簡単すぎる感じがしたので、補正値は-2で。
あと、上記の光カード/闇カードの公開タイミングに関するバリアントレギュレーションを採用することにする。
リプレイ「狂気の果て」
とある研究室の片隅、目の下にクマを作って、一心不乱に研究を行う男がいた。
一体、何の研究を行なっているのかは分からないが、その沙汰は月に魅入られたかのようにも見える。
彼を待つ運命は、破滅か、それとも・・・
「教授」(力:3、技:4)
スキル「研究突破」【自身の判定】
君は興味深いものに対して見境なく研究の目を向けてしまう。
目の前のものが研究対象だとGMを説得できたら、判定を[2D + 7]で行うことができる(力/技は足せない)。
イントロダクション「村の異変」
(PCのうち1人)が引っ越してきた平和な村。
穏やかな暮らしがしばらく続いたが、この夜を境に、異様な出来事が起こり始める。
村の伝承と禁じられた存在に、鍵があるかもしれない。
この地で得た知人と助け合い、怪異に挑むんだ。
「・・・何やら村が騒がしいな」
教授が村に越してきてから、だいぶ時間が経っていた。
ここでの生活は、都会の喧騒に憧れる若者にはひどくつまらないものだろうが、自分の研究に没頭できる彼にとっては、最高の環境だった。
ただ、村社会というものは恐ろしい。
彼としては、最低限の近所付き合いはしてきたつもりだったが、それでもなお、村にとって異質な存在である彼に嫌悪を抱いている村人も少なくはないだろう。
やれ、面倒だが、様子を見にいくしかないか・・・
場面1「演舞」
赤い月が陰る夜、君はうっかり村の奇祭に踏み込んでしまった。
村人が熱に浮かされたような目で、なにやら手拍子を打っている(周りのプレイヤーは手拍子を始めること)。
奇祭の踊りを即興で成功させなければ、村人に捕らえられてしまうぞ!判定
【技:13】以上(→補正【技:11】以上)で成功する。
場面PCはダイスを振る代わりに踊ってもいい。
成否は周りのみんなで決めること。
「・・・なんだ、これは?」
教授が目にした光景は、予想の上をいくものだった。
村人がみな熱に浮かされたような目をし、謎の踊りを踊っている。
ここに住むようになって結構経つが、こんな光景は見たことがなかった。
困惑している教授をよそに、村人たちの目線が一斉に彼を捉える。
彼の番だというのだろうか。
くそっ、こんな意味わからんことをするためにこの村に来たのではないのに、と彼は内心で毒突いたが、そんなの村人たちの知るところではない。
手拍子をしつつ、彼に近づいてきて、踊れ踊れと催促してくる。
その目は正気のそれではない。
あまりの恐怖にたじろぎ、教授は見よう見まねで踊り始めた。
ダイスロール(2D):4 + 2 = 6
判定:【技】4 +【ダイス】6 = 10
→
失敗、闇カードをドロー
「軍人(NPC)」を取得
「軍人(NPC)」
「くそっ、なんて地獄だ。ここはどんな戦場よりも地獄だぜ。いいか、お前ら、ここで待っていろ。余計なことはするんじゃあない。こんな地獄は地獄帰りのプロフェッショナルに任せておけよ。いいな? さもなくば地獄送りだぜ」
ボーナス;力+1
しかし、その踊りはあまりに拙く、教授は村人らに捕らえられてしまう。
と、そこには先客がいた。
迷彩服に身を包んだ、軍人のようだ。
なぜこんなところに軍人が・・・というのも謎だが、その軍人をすら村人たちは捕まえているという事実は、怪奇の域に達している。
この村で、一体何が起きているというのだろうか。
場面2「携帯がつながる」
ふと携帯を見ると、この一帯は奇跡的に電波が入っている!
誰かに助言を求めよう。
パニックにならず、落ち着いて話せば、有用なアドバイスを貰えるかも。判定
【技:10】以上(→補正【技:8】以上)で成功する。
こうやって捕まってる間も、時間はどんどん過ぎていく。
それはすなわち、研究の時間が削られていくということだ。
なんとかこの場から逃れなければ。
ふと携帯を見てみると、電波が入っていることに気づいた。
これで助けを呼べないだろうか・・・?
ダイスロール(2D):4 + 1 = 5
判定:【技】4 +【ダイス】5 = 9
→
成功、光カードをドロー
手札に追加
よしっ、携帯は無事繋がった。
これでなんとかなりそうだ。
場面3「巨大な怪物」
そこに立ち入った君たちの足下が、突如崩れる。
轟音とともに現れたのは、異形が寄り集まった山のごとき巨大な怪物だ!
逃げ場所はない。
命を賭して、この脅威に立ち向かうしかない!判定
【力:15】または【技:15】以上(→補正【力:13】または【技:13】以上)で成功する。
「で、こんな時間に、なんだって?」
教授が携帯で助けを求めたかつての同僚は、つまらなそうに答える。
「ふんっ、捕まっているのは、古い座敷牢なんだろう? だったら、畳を剥がしてみれば、床が抜けるんじゃないか?」
いや、そんな簡単にいくものか、と教授は抗議したのだが、かつての同僚は眠そうに「じゃあな」と短く言って、携帯を切った。
薄情な・・・と教授は思ったが、仕方ないのかもしれない。
こんな田舎に引きこもっているハグレ研究者など、厄介者以外の何物でもない。
仕方ないので、教授は軍人と協力して、畳を剥がし、床を調べ始めた。
板張りの床とはいえ、そう簡単に抜けるようなものではない。
が、そんな中、明らかに足音の反響が他と違う場所があった。
もしや、と思い、軍人と一緒に思いっきりその一点を踏み抜いてみた。
その瞬間。
床は抜け、ガクッとバランスが崩した彼は、軍人と一緒に穴の中へ落ちていった。
「あいてて・・・」
どうやらそこは地下室のようだった。
周りは真っ暗で、何も見えない。
辺りを探るために携帯のライトをつけると、獣ともなんとも判断がつかないような奇妙な叫び声が部屋に反響した。
声の方向に携帯を向けると、そこにはなんともおぞましい、怪物の姿が映し出された。
いくつもの小さな生命が集まり、群れ、まるで一つの生き物であるかのようにうごめいている。
が、教授は軽く笑い飛ばす。
「まさか、こんな生き物がいるだなんてね。だが、それは俺の研究対象だぜ・・・!」
狂気に爛々と輝く目は、いったいどちらの方が化け物なのかと思わせるものだった。
彼の専門は生物学だが、それは学界では異端とされるもの。
怪異と呼ばれる類の生物を追い求め、その痕跡を研究しているのだった。
スキル:研究突破を使用
ダイスロール(2D):3 + 2 = 5
判定:【スキル】7 +【ダイス】5 = 12
→
失敗、闇カードをドロー
手札に追加
教授はその巨大な怪物にがむしゃらに向かっていったが、さすがに分が悪かった。
不定形のそれは、一部を潰されようと、全体としては滅ぶことがない。
しかし、彼は一向に怯まない。
「ふはは、これだ、この生命力だ。お前を研究させろぉ!」
ボロボロになっても突っ込んでいこうとする教授を、しかし、軍人はグイッと掴んで引っ張りあげる。
「バカか、お前は。逃げるぞ!」
嫌だ嫌だと暴れる教授を摘まみ上げ、軍人はその場からの離脱を試みるのだった。
場面4「血塗られたゆるキャラ」
場面PCははじめに、知ってるゆるキャラ1体の名前をあげること。
ーーそれが今、ここに立っている。
いつもと違うのは、その足下が赤黒く濡れており、その手に握られているのが狩猟銃で、銃口が君の右目に向けられているということだ。判定
【力:12】以上(→補正【力:10】以上)で成功する。
「・・・ふぅ、なんとか逃げ切れたな」
軍人は安堵の息をついた。
一方、強引に引きずられてきた教授は、まだ口惜しそうにしていた。
と、そこに。
なにか異様な気配を感じた教授と軍人は、二人揃って後ろを振り返った。
二人の目に映ったのは、血にまみれ、狩猟銃を握った、人型のナマズのようなナニカだった。
「こいつは・・・インスマス なまりん!?」
(※吉川市のイメージキャラクター、なまりん)
そう口走った教授を、軍人は横目で眺める。
また暴走したりやしないだろうか・・・
が、教授はなんとも冷めた目をしていた。
不思議に思った軍人は、教授に問う。
「お前、あれは研究対象じゃないのか?」
教授は答える。
「ふんっ、銃を使うようなヤツなど、興味ない。それに、俺は潔癖症なんだ。あの血に汚れた姿、不衛生で不快極まる」
闇カード「潔癖症」公開
「潔癖症」
君は何かの理由により、汚れを非常に憎んでいる。清潔さは人類を混沌の時代から文明の新時代に進ませる叡智の光なのだ。除菌してやる!
ボーナス:技+2(不衛生な環境だと力+2)
教授と軍人は、協力してなまりんの制圧に取り掛かった。
「軍人」のボーナス:力+1
「潔癖症」のボーナス:不衛生な環境なので、力+2
ダイスロール(2D):5 + 2 = 7
判定:【力】3 +【ボーナス】3 +【ダイス】7 = 13
→
成功、光カードをドロー
「懐中電灯」を取得
「懐中電灯」
闇を切り裂きすべてを明らかにする・・・には、やや頼りない光だけど、足下の危険を照らす役には立ってくれるだろう。電池が続く限り。
スキル「明るくなあれ」【すべての技判定】
判定に [+1]のボーナスを得る(与える)。
いくら相手が銃を持っていようと、二人でかかれば問題なかった。
事もなく、なまりんを制圧。
そして、なまりんが持っていたであろう懐中電灯を、教授は手に入れたのだった。
場面5「失われた像」
「この一帯を守る像が、何者かに奪われてしまった」
「ここは間もなく滅んでしまう」
「おしまいだぁ!」
人々が右往左往している。
まさか、そんな・・・と疑うのは自由だが、とりあえず彼らを安心させれば、滅びを遠ざけておけるだろう。判定
【技:10】以上(→補正【技:8】以上)で成功する。
倒れたなまりんを尻目に、二人は村の様子を窺うと、何やら様子がおかしい。
先程までは踊り狂っていた村人たちも、今は踊りをやめ、青ざめた顔つきで皆がオロオロしていた。
彼らの話し声が聞こえてくる。
「像が奪われてしまった」
「もうダメだ、この村は滅んでしまう」
「いや、大丈夫だ。さっき若いのが、着ぐるみのまま、猟銃片手に様子を見にいったところだ」
「でも・・・」
二人は顔を見合わせる。
もしかして、さっきのなまりんは・・・
村人たちに先程の狂気は見えない。
これは、自分たちがなんとかしなければならないのではないだろうか。
「潔癖症」のボーナス:技+2
スキル「あかるくなあれ」を使用:技+1
ダイスロール(2D):3 + 2 = 5
判定:【技】4 +【ボーナス】2 +【スキル】1 +【ダイス】5 = 12
→
成功、光カードをドロー
「栄養ドリンク」を取得
「栄養ドリンク」
多少の傷は回復できるアイテム。・・・だまされてる気がする? 気のせい気のせい、ちゃんと治るって!
ボーナス:力+1
教授と軍人は村人たちの前に姿を現し、彼らの説得を試みた。
もちろん、なまりんのことはおくびにも出さず。
説得は一通りの成果をみたようで、村人たちも落ち着いたようだった。
そして、疲れた様子の彼らを見て、栄養ドリンクを与えてくれた。
それにしても、話をしていて分かったが、やはり村人たちは彼らを捕らえていたことをまったく覚えていないようだった。
では、先程の狂気は何だったんだろうか・・・
クライマックス「隠蔽された真実」
そして1年後・・・。謎の未解決事件として、新聞の片隅に押し込められた内容を見て、君は何を思うだろうか。
たとえ政府が隠蔽しても、この事件は終わってはいない。奪われたものと得たもののすべてを胸に、PCたちは次の場所へと(かっこよく)去っていくのであった。判定
それぞれ2Dを振り、8以上を出せば、新聞を読む側になる。その際、自分が持っている「光」カードの枚数をボーナスに加えることができる。
判定なし
あの騒動から、1年が経った。
村は何事もなかったかのように、静かで平和だ。
教授は目を覚まし、朝刊に目を通す。
ここ1年、欠かさずにチェックを続けていたが、あの事件のことはどこにも書かれていない。
「自衛隊員一人が行方不明になった」という小さな記事を除いて。
教授は片隅に佇むソレを幸せそうに眺めた。
それは、あの地下にいた巨大な怪物であった。
「一時はどうなることかと思ったが、なんとかなったな。これで研究に専念できるーー」
その目は完全にイっていた。
はたして、狂気に堕ちていたのは、誰だったのかーー
ソレを呼び出したのは、他でもない、教授その人であった。
召喚の狂気は、村人たちに一時的な発狂をもたらしたものの、今や反転し、村人たちの生気を吸い続けている。
結果、村人たちは「ただ平穏に」日々を送るだけの、生ける屍となった。
これは、教授と行動を共にした軍人もである。
そのため、この騒ぎは外に広まっていない。
この「平和」な世界で、教授とソレは、今日も生き続けるのだろうーー
今日はここまで!
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