だいぶ時間が空いてしまったけど、11/3(祝)に未踏ジュニアの最終成果報告会があったので、行ってみた。
その感想とか。
ちなみに、動画はYouTubeでも公開されているので、そちらからぜひ:
生成AIの躍進
未踏ジュニアの成果報告会は毎年見てて、そのレベルの高さに驚かされるんだけど、今年はやはり生成AIやLLMによる成果がすごかったなと感じた。
生成AIを活用してゆっくり動画を作る:
生成AIを活用して4コママンガを作る:
声が出せない人のための、生成AIを使ったコミュニケーションツール:
政治の一次情報をLLMでまとめて発信できるようにする:
読むことに特化したエディタ(構造体や関数へのコメントをAIで自動生成):
これまでだと実現が難しかったであろうことが、生成AIの力で次々と実現されているのは驚愕としか言いようがない。 まるで魔法を使っているかのようで、まさに「高度に発達した科学は魔法と見分けがつかない」という言葉の通りだった。
しかも、これらの技術は出てまだそれほど時間が経ってないにも関わらず、こうしてプロダクトの形に落とし込めているのは本当にすごいの一言。
発表の質の変化
また、発表の質がちょっと変わったかなというのも感じた。 これは個人の感覚なので勘違いかもしれないけど。
もちろん、これまでの発表もとてもいいものだった。 やりたいことは何なのか、そのためにどういったことをしたのかに加え、取り組みの中で出てきた課題への対処なども分かりやすく発表できてるものが多かったと思う。
ただ、今年の発表はそれに加え、エンタメ性を意識したものが多かったように思う。 そこまでできるのは正直すごい。 自分はめっちゃ苦手なので。
この発表とかすごくパワーを感じたw
作ってるもの自体も面白いけど、発表の様子が面白いし、本番でデモをやりきってるのもすごいw
動画を見てもらうと他の発表でもけっこう笑いが起きてるのが分かるかと思う。
このあたり、やはり中高生でもけっこうYouTubeの配信とかを見てたりして、芸人でない普通の人でも配信(や発表)でオモロイことをするのが普通みたいなノリが広まってたりするのかなぁ・・・?
ちょっとした違和感
そんな感じで、これまでにも増してレベルが上がってるなぁと思ったんだけど、一方でちょっとした違和感も感じたりした。
一つは、たしかに生成AIやLLMはすごいんだけど、技術のコアがそれになってしまうのはどうなのかなぁということ。
課題解決では「何を解決するのか」という「What」と「どう解決するのか」という「How」の両方が必要になる。
大抵問題になるのは「What」がボンヤリしたまま「How」に取り組んでしまうパターン。 一応、未踏ジュニアに関してはそういったことはめったに起きてないと思っている。
一方で、「How」として生成AIやLLMを持ってきて、フロントとの繋ぎ合わせをして終わりみたいになってしまうと、それはそれでちょっと寂しいというか。 もちろん、今回発表されたものは繋ぎ合わせの部分でもいろいろ工夫が入ってるはずだけど、下手すれば「What」で解決する内容こそ面白けれ、「How」にはとくに開発や工夫が入ってないとなりかねない。 それだと技術を作ってるとは言い難く、ビジネスモデルを作ってる感じになってしまうので、「未踏」とはちょっと違うようなぁと。 やっぱり未踏なんだから、「How」の部分にも誰もやったことがないような開発を含んでいてほしいなと個人的には思った。
それともう一つは、ウケのいい企画だけになってしまわないかということ。
発表が面白いのはとてもいいことなんだけど、そうしてアピールやプレゼンの上手い人の企画ばかりになってしまうと、それもやっぱり違うよなぁと。 ビジネスを起こすうえで投資家や消費者へのアピールが上手いことはすごく重要ではあるけど、それはビジネスパーソンとしてのソフトスキルに属するものなので、エンジニアとしての問題解決能力とはまたちょっと違うところにあると思う。
未踏はエンジニアの育成を目標にしてるものだと思うので、コアの部分でちゃんと技術に向き合うようにして、ビジネスモデルコンテストになってしまわないようにしてほしい。 まぁ大丈夫だとは思うけど、念のためにね。
今日はここまで!