タイマーを使った時間管理術、「ポモドーロテクニック」。
- 作者: Staffan Noeteberg,渋川よしき,渋川あき
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 13人 クリック: 330回
- この商品を含むブログ (56件) を見る
これについてまとめたみた。
基本的な考え方
ポモドーロテクニックの「ポモドーロ」というのは、イタリア語でトマトのこと。
なぜトマト?と思うかもしれないけど、これはトマト型のキッチンタイマーを使ったのが始まりだから。
ポモドーロテクニックでは、タイマーを25分に設定してタスクを開始し、25分経ったら5分休憩するというのを繰り返す。
この1回の繰り返しのことを、1ポモドーロと呼ぶ。
このとき重要なのが、1ポモドーロで行うタスクは1つだけにするということ。
そうすることで、タスクに集中して取り組めるようにして、効率を上げようとしている。
ちなみに、タイマーはトマト型である必要はなくて、なんでもいい。
けど、ポモドーロテクニックの名前にちなんで、トマト型のタイマーが使われることが多い。
以下では、具体的な方法についてまとめていく。
なお、ところどころ本の記述とは違うので、注意。(灰色の枠の中を参照)
ツール
まず、用意するのは、タイマーと紙と筆記用具。
紙は3枚用意して、それぞれ次のように使う:
- タスク一覧シート
近いうちに行う必要のあるタスクの一覧。 - ToDoシート
今日行うタスクの一覧。 - 記録シート
タスクを行った結果をまとめるシート。
なお、ToDoシートは毎日新しく作成し、それ以外は数日続けて使うことになる。
タスク一覧シート
タスク一覧シートには、近いうちに行う予定のタスクの一覧を書いておく。
このとき、タスクは「完了したらどうなっているのか」を書くといいみたい。
(例えば、「部屋の掃除」じゃなくて「部屋がキレイになっている」など)
タスク一覧にタスクを追加したら、そのタスクを完了させるのに何ポモドーロ必要そうか、見積もりを書いておく。
- 見積もりは整数にして、小数や分数にしない。
これは、1ポモドーロに行うのは1つのタスクだけというのを守るため。 - もし7ポモドーロ以上必要そうなら、タスクをより細かいものに分ける。
- 1ポモドーロも必要でない雑多なタスクは、見積もりを0にしておく。
これらのタスクは、いくつかのタスクを合わせて1ポモドーロとして実行することになる。
ToDoシート
ToDoシートには、タスク一覧シートに書かれているタスクのうちで、今日終わらせるものを書く。
そして、タスクを進めていき、行ったポモドーロ数や割込みの回数を記録する。
タスクが終わったら線で消して、全部のタスクがなくなれば今日の仕事は終了。
記録シート
記録シートには、一日の最後に、実際に行ったポモドーロ数や、見積もりと実績の差、割込みの回数などを記録する。
そして、振り返りの材料にする。
一日の流れ
一日の流れは、PDCAサイクル(Plan, Do, Check, Action)に従ったものになる:
- プラン
タスク一覧シートから重要なタスクをいくつか選んで、今日のToDoシートに書く。
これが今日やることになる。 - 実行
タイマーを25分にセットし、タスクの1つに取り組む。
これを繰り返す。 - チェック
一日の結果を記録シートにまとめたり、見やすい情報に変える。 - アクション
記録シートを振り返り、改善を行う。
プラン
タスク一覧シートから重要そうなタスクを選んで、今日のToDoシートに書く。
このとき、ToDoシートのタスクの横に、見積もりの分だけ四角(□)を書いておく。
なお、四角の合計が、一日に行えるポモドーロ数を超えないようにする。
(8時間働くなら、16個くらい出来そうに思うけど、実際にはそんなに出来ない・・・どれくらい行えるものなのかは、アクションの段階で振り返ることになる)
実行
ToDoシートでまだ終わっていないタスクから、優先度が一番高いタスクを1つ選ぶ。
そして、タイマーを25分にセットして、そのタスクを開始する。
タイマーが鳴るまではそのタスクに集中。
他のタスクのことは考えない。
(割込みがあった場合については後述)
タイマーが鳴ったら、そのポモドーロは終了。
見積もりの四角の1つにバツ(×)をつける。
タスクが完了していれば、そのタスクを線で消す。
そのあと、5分休憩。
休憩中はタスクのことは考えない。
4回に1回は15分〜30分の長い休憩をとる。
休憩が終わったら、それまでにやっていたタスクを続けるか、別のタスクに切り替えるか考える。
より優先度の高いタスクがあったら、切り替える必要がある。
見積もりの四角全部にバツがついてもまだタスクが終わっていない場合は、再見積もりを行う。
再見積もりで必要なポモドーロ数が増えたら、増えた分だけ丸(○)を書いておく。
その丸を使い切ってもタスクが終わっていなければ、再々見積もりを行う。
再々見積もりで増えた分は、三角(△)を書いておく。
その三角も使い切ったら、そのタスクは一度諦めて、内容を見直す。
(より細かい内容に分けるなど)
なお、場合によっては、タイマーが鳴る前にタスクが完了することもあるけど、その場合は残りの時間で見直しを行うといい。
(別のタスクを始めてしまうと、その新しく始めたタスクが中途半端になってしまうし、記録も不正確になってしまうから)
チェック
ToDoシートから、今日の結果を取り出し、まとめる。
- 何ポモドーロ実行できたか
- 見積もりと実績の差はどれくらいあったか
- 割込みは何回あったか
- 漏れていたタスクはあったか
などを記録シートに記録する。
アクション
記録シートを見て、改善できることがないか確認する。
- 一日に行えるポモドーロ数の見直し
- タスク一覧にあるタスクの見積もりの修正
- 漏れているタスクがないかの確認
- 割込みの原因の分析と対策
など。
割込みに関して
ポモドーロの最中はずっと集中していたいんだけど、必ずしもそうできるとは限らない。
というのも、割込みが発生するから。
割込みには、次の2種類がある:
- 内部割込み
割込みの原因が自分にある(他にやらないといけないことを思いついた、など) - 外部割込み
割込みの原因が自分以外にある(電話がなった、など)
内部割込みへの対応
基本的には内部割込みの欲求に流されてはダメ。
ポモドーロの最中に、何か別のタスクを思いついたときには、次のようにする:
- ToDoシートの下の方に、思いついたタスクを書き足す。
- 今のタスクの右にドット(・)を1つ打つ。
ただ、どうしようもないときはあるので、そのときは現在のポモドーロを破棄する。
(×をつけない、ということ)
例えば、トイレに行きたくてガマンできないとか、思いついたタスクが今のポモドーロが終わってから取り掛かるのでは遅い場合など。
外部割込みへの対応
ポモドーロの最中に、外部割り込みがあった場合、次のようにする。
- 今すぐ対応が必要か、あとでも大丈夫か確認する。
- 今すぐ対応が必要な場合、ポモドーロを破棄する。
あとで大丈夫な場合、ToDoシートの下の方に、タスクを追加する。 - 今のアクティビティの右にハイフン(ー)を1つ打つ。
なお、割込みでタスクを追加するとき、今日行う必要がないのであれば、ToDoシートではなく、タスク一覧シートに追加する。
補足
やってみた感想
やってみると、かなり集中して作業が進められる。
Twitterとかついつい見ちゃいたくなるけど、「今はポモドーロの途中だから」と抑制が効くし。
ただ、本当に疲れる。
自分の場合、5分くらいの休憩だと「よし、次やるか」というレベルに回復できてない気がするので、10分くらいは休憩してる。
けど、それでも4〜5ポモドーロ行うと、精神的な疲れで、次のポモドーロがなかなか始められなかったりする。
それでも、「とりあえず始めるとやる気が出てくる」というのはあって、やり始めることさえできれば、結果は出てくる。
なので、無理にでもタイマーをスタートさせてしまうというのは、とても有効だと思う。
メールのチェック、優先度の変更
本では、メールの受信も一つの外部割込みで、ポモドーロ中は目を向けないようにしている。
そして、もし返信や対応が必要な場合、タスクとして追加するようにしている。
けど、メールのチェック自体をタスクとして扱うべきかどうか。
メールのチェックはタスクとして扱うには小さいけど、頻繁に発生する。
なので、ある程度経てばまとまって扱うのに十分な量にはなるかもしれないけど、それだとだいぶ時間が経ってしまう。
かといって、他の見積もり0のタスクと組合せて処理するには、頻度が多すぎて困る。
ちなみに、メールのチェックを休憩中にやるべきではない、ということも本には書いてある。
休憩中はちゃんと休憩して、集中力を回復するのに努めるべき、と。
別の話で、本には、次のポモドーロに入る前に、タスクを切り替えるべきかどうか考えるようにすべきと書いてある。
けど、そうすると、休憩とこのタスクの決定の間に明確な「区切り」が存在しなくて、下手すると、休憩中に次のタスクはこのままでいいのか、それとも別のタスクを行うべきなのかと考えてしまって、十分に休憩がとれないように感じた。
これら2つに対して、休憩とポモドーロを開始する間に、もう一つ、「メールチェック&タスクの決定」のフェーズを明確に入れた方がいいんじゃないかな、と思った。
つまり、休憩が終わったら、タイマーをメールの未読数に合わせて1〜5分程度にセットして、メールのチェックと、場合によってはタスクの追加、それと、次のタスクの決定を行うようにする。
そして、そのフェーズが終わってから改めて25分のタイマーをセットして、次のポモドーロを始める。
チケット駆動開発との組合せ
内容だけみると、チケット駆動開発と非常に相性が良さそうに思う。
けど、実際には注意が必要。
というのも、粒度が違うから。
チケットの場合、そこに書かれているのはもちろんタスクなんだけど、それをそのままポモドーロテクニックのタスク(アクティビティ)として扱うには、大きすぎることが多い。
なので、チケットはより細かいタスクに分割する必要があると思う。
具体的には、次のようにするとよさそう:
- チケットには、そのチケットの内容が実現されると「嬉しいこと」を書く。
- ポモドーロテクニックのタスクとしては、それが全部終わると、チケットの内容が実現されるマイルストーンを書く。
このマイルストーンも、例えば「設計」「実装」「レビュー」「テスト」といった粒度では、場合によっては7ポモドーロ以下で終わらない場合が出てくるので、さらに細かく分けて、順番にこなしていくことになりそう。
ToDoシートをいつ作るか
本ではToDoシートを朝作ることになっているけど、個人的には夜に次の日の分を作る方がいいと思ってる。
というのも、夜のうちに作っておけば、次の日の朝に「昨日何していたっけ?」と思い出す手間が省けるから。
何が終わっていて、何が終わっていないのか、そして、次の日に何をやらないといけないのかは、その日の終わりが一番詳しくなっている。
なので、その知識を捨てることなくToDoシートを作成してしまった方が、効率がいい。
それに、次の日のToDoシートを作っておけば、次の日に仕事を始めるときにはもう何をすべきかが決まっているので、スムーズに仕事を始めることが出来る。
今日はここまで!
- 作者: Staffan Noeteberg,渋川よしき,渋川あき
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2010/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 13人 クリック: 330回
- この商品を含むブログ (56件) を見る