トリックテイキングゲーム(以下トリテ)は面白いのだけど、ちょっとハードルが高いというのもまた事実。
トリテに慣れていない人にとっては、
- なんだか専門用語が多くて難しい
- 見た目が地味、テーマがよく分からない(場合によってはない)
- ルールは分かるけど、何をしたらいいのか分からない
- 面白さがよく分からない
という感じがあるし、トリテ好きな人にとっても、上のような慣れていない人がいることを知っているので、
- 卓を立てるときに魅力を説明しづらい
- このゲーム会でやっていいものなのか分からない(トランプとか、ドン引きされる可能性大)
- 面白さが分かってくるまで数ディール遊んでもらいたいけど、それが許されるのかが微妙
という感じがあったり。
そこでオススメしたいのが、iOSでトリテを遊ぶという選択肢。
今日はそれについてちょっと語って、あと、具体的にいくつかのアプリを紹介したいと思う。
(前説が長くなったけど、これはTrick-taking games Advent Calendar 2015 - Adventarの18日目の記事です)
iOSでトリテを遊ぶメリット
まず、iOSでトリテを遊ぶメリットから。
変な話なんだけど、iOSで遊ぶ場合、相手がいらないというのが最大のメリットw
いや、もちろん、対人で遊ぶのが一番面白いんだけど、対人で遊ぶ場合、もちろん相手がいることだから。
相手を無視して我を通すということは許されないわけで。
トリテの場合、一回遊んでそれで面白さの100%が分かるというのはマレだと思っていて、やはり何度も繰り返して遊ぶ中で、じわじわと面白さがわかってくる場合が多いと思う。
トリテに慣れていない場合、その度合いはさらに大きい。
そんなときに、相手がつまらなそうにしてるのに何度もやるというのはとても出来ないことだし、逆に、相手が超ワクワクしてるのに自分には面白さがよく分からないから投げ出すなんてことも出来ない。
その点、アプリなら、AIは文句ひとつ言わずにいくらでも付き合ってくれるし、あるいは、逆に放り出してしまっても文句は言ってこないので、気楽に遊ぶことが出来る。
面白さが分かるまで何度でも挑戦してもいいし、あるいは、よく分からないから一度放り出して、あとでまた気が向いたときにやってみるというのでもいい。
トリテに慣れていなくても、アプリで何度も遊んでいると、「あぁ、こうプレイすればいいのか」とか「こういったところが面白いのか」というのが、じわじわ分かってくると思う。
その間、他の人に気を使う必要は全くなし。
分かっている人から見ると変な手に見えるかもしれない手でも、いくらでも好きなように試すことが出来る。
場合によっては、何度も遊んでもやっぱりトリテは自分には合わないな、という場合も出てくると思うけど、その場合も、実際に人と遊んでトリテが合わないなと分かるよりも、他の人に申し訳ないことをしたなという感じが少ないので、気が楽だと思う。
一方、トリテが好きな人にとっては、対人で遊ぶのが一番とはいえ、やはり卓を立てられるゲーム会というのはなかなか限られているというのもまた事実。(特にトランプのゲーム)
そんなときに、アプリであればいつでもどこでも遊べるので、とても気楽。
自分が楽しみたいだけ楽しめばいいw
iOSでトリテをするときの問題点
ただ、一つだけ問題点が。
ルールが英語。
それも、「リード」とか「フォロー」とか「トリック」という用語がさも当たり前のように使われているので、慣れていないとちょっと大変・・・
向こうにとっては、日本のゲームで「親」とか「あがり」とか使うのと同じくらい、自然な言葉なんだろうけど。
これについては、ゲーム名とかでググるのがいいかもしれない。
そうすれば、適当な和訳が見つかることが多いと思うので。
オススメのアプリ
ということで、ここからはアプリの紹介。
自分もそんなに検索して漁っているわけではないけど、とりあえず自分がプレイしたもののなかで気に入ったものを紹介していきたいと思う。
Blackbird!
まず、Blackbird!。
これはRookというトリテをアプリで遊べるようにしたもの。
トリテにちょっとしたトラウマを持っていた自分が、それでもトリテにちょっと興味を持って、最初にインストールしたアプリ(のはず)。
マストフォローの切り札ありで、基本的にはたくさん取ればいいトリテなので、トリテのマストフォローというルールがどう効いてくるのか、どうやってトリックを取っていけばいいのかという基本がよく分かる。
なので、トリテをどうプレイしたらいいのか分からないという人は、このアプリを何度かやってみるのがオススメだと思う。
ルールをざっと書くと、
- 4人専用のペア戦。
- カードは5〜14が各4色(赤、緑、黄、黒)と、Blackbird(ジョーカー)の合計41枚。
- カードにポイントがあって、それを出来るだけ集めるのが目的。
- 5は5点、10と14が10点、Blackbirdは20点(合計120点)
- 手札を9枚ずつ配り、残り5枚は場に伏せておく。
- 手札を配ったら、ビッドを行う。
- ビッドは70点から5点刻みで、ペアで合計何ポイント取れるかをビッドする。
- ビッドに勝ったプレイヤーは場に伏せてある5枚を手札に加えて、いらない5枚を場に戻す。
そして、切り札の色を決める。- 場に戻された5枚は、最後のトリックを取ったプレイヤーが獲得できる。
- ビッドに勝ったプレイヤーの左隣が最初のリードを行う。
- プレイは、マストフォロー、切り札ありで、Blackbirdは常に勝つ。
- Blackbirdでリードされた場合、切り札が手札にあれば、切り札を出さないといけない。
- ビッドに勝ったペアは、ビッドを達成できたらビッドした点数が得点。
失敗したら、マイナス点。 - ビッドに負けたペアは、獲得したポイントがそのまま得点。
という感じ。
このゲームの何が面白いって、ビッド!
基本的にはビッドで勝たないと得点は狙えないけど、突っ込みすぎても当然達成できなくなるわけで、そのギリギリを見極めるのが楽しいw
ぜひとも遊んでもらいたいな。
Wizard
続いてWizard。
これは有名だからもう説明いらないんじゃないかなw
一応ざっとルールを書いておくと、
- アプリは4人用。(実際には3人〜6人で遊べる)
- カードは普通のトランプに追加でウィザード4枚とジェスター4枚の合計60枚。
- 手札が、最初は1枚、次は2枚、・・・と1枚ずつ増えていって、各ディールで何トリック取れるかをピッタリ当てるのが目的。
- 手札を配ったら、山札の一番上をめくり(このスートが切り札になる)、ディーラーの左隣から、何トリック取れるかをビッドしていく。
- ディーラーの左隣が最初のリードを行う。
- プレイは、マストフォロー、切り札あり。
- 取ったトリック数がビッドとピッタリ一致したら、20点+(取ったトリック数)x10点がポイント。
- 取ったトリック数がビッドと一致しなかった場合、(外したトリック数)x(-10)点がポイント。
という感じ。
Wizardの場合、Blackbird!とは違って、たくさん取れればそれでいいというわけではなく、必要なら負けたり、あるいは強い手札を捨てたりと、手札を調整する必要がより強くなってくる。
なので、Blackbird!でどうやればトリックを取れるのかを掴んだら、今度はWizardでどうやったらトリックを取ったり取らなかったりを調整出来るのかというのを掴んで欲しい感じ。
そして、やっぱりその魅力といえば、このなんとも言えない手札調整の難しさと、何トリック取れるのかを予測するビッド!
すごく微妙な手札が来たときに、ウンウン唸りながらもなんとかビッドを達成させたときの脳汁出る感じは堪らないw
あ、リアルでやっちゃダメだけど、アプリなら「もう嫌だうわーん」となったときのリセットもOK。
もちろん、そこで踏みとどまって強気のビッドを続け、逆転した日にはめっちゃ嬉しいので、出来れば最後まで頑張りたいところではあるけどw
ちなみに、Wizardはトランプゲームのオーヘルから派生したゲームで、同じくオーヘルから派生したスカルキングが好きな人なら、遊んでおいて損はないと思う。
重要な違いとして、
- Wizardは順番にビッドをしていく
- スカルキングは一斉にビッドを行う
というのがあるので、スカルキングはよりパーティーゲーム寄りになってる感じ。(※一応、Wizardにもバリアントルールで同時ビッドはある)
なので、じっくり遊びたい場合、Wizardの方をオススメしたいかな。
Spades
次はSpades。
スペードというゲームは、トランプゲーム大全によれば、アメリカだとハーツとかと並んでよくプレイされるトリテなんだとか。
そのスペードをアプリにした一つがこれ。
Blackbird!とWizardを足して2で割ったようなw
ペア戦なんだけど、自分が何トリック取れるかをビッドしていって、最終的にはペアで合計してビッドしたトリック数以上を達成すればいい、という感じ。
実際には、「バッグ・ルール(トランプゲーム大全ではサンドバッグ・ルール)」という曲者なルールが存在するので、出来るだけピッタリを狙わないといけないのだけどw
ざっとルールを書くと
- 4人用のペア戦。(3人用、4人用のソロ戦のルールもある)
- 使うのは普通のトランプ。
スペードが常に切り札。 - 各自に手札を13枚ずつ配ったら、ディーラーの左隣から「自分が」何トリック取れるのかをビッドしていく。
- 手札を見る前に「0ビッド」を宣言するオプションルールもある。(成功したら200点。失敗したら-200点)
- ディーラーの左隣が最初のリードを行う。
- プレイはマストフォロー。
- 切り札のスペードによるリードは、誰かがスペードをプレイしたら出来るようになる(スペードのブレーク)
- 「ペアで取ったトリック数の合計」が「ペアがそれぞれビッドしたトリック数の合計」以上になれば、ビッドは達成したことになる。
- ビッドを達成すると、(ビッドしたトリック数)x10点+(ビッドをオーバーしたトリック数)がポイント。
- ビッドを達成できないと、(ビッドしたトリック数)x(-10点)がポイント。
- ビッドをオーバーしたトリック数は「バッグ」に追加され、バッグの合計が10以上になると、-100点される。(バッグ・ルール)
という感じ。
「スペード」というゲーム名の通り、毎回スペードが必ず切り札なので、分かりやすいと思う。
あと、「ハーツ」と同じように、ブレークのルールがあるのも面白い。
そして、このゲームの面白いところは、ビッドの多い少ないをペアで補い合うことが出来るというところ。
例えば、AとBがペアで、Aが3トリック、Bが5トリックをビッドしていた場合、もちろんAが3トリック、Bが5トリックを取れれば何も問題はないのだけど、Aが4トリック、Bが4トリックを取るというのもでOKとなる。
なんなら、Bだけで8トリックとって、Aは1トリックも取らないというのでも大丈夫w
なので、トリテに慣れていない人でも、慣れてる人とペアになって、慣れてる人が「好きにビッドしていいよ、おっちゃんに任せておきな!」と言ってくれれば、気楽にプレイできていいと思う。
あと、非常に面白いと思うのが、バッグ・ルール。
このおかげでビッドをピッタリ当てる必要がなくなって気楽にプレイできるんだけど、でも、チリも積もればなんとやら、バッグにオーバーしたトリックが溜まってくると、とてもそんなこと言ってられなくなるw
バッグが破れるんじゃないかとヒィヒィ言いながらプレイすることになって、これまた楽しいw
ちなみに、このアプリを出しているところは、ハーツやピノクルも出しているので、興味がある人はそれらもどうぞ。
Tressette
イタリアの伝統的なトリテの一つ。
トランプゲーム大全(こちらで紹介されてるのは4人用のペア戦のルール)だと「ゲーム会ではあまり評判がよくなかった。というのも、単に点数のあるカードをたくさん取ればいいだけだから」という評だったのだけど、やってみたら思いの外ガチで面白いと思ったので。
このアプリのトレセッテは2人用。
ルールをざっと書くと、
- 使うのはイタリアのカード構成。(ただし、分かりやすいように普通のトランプで)
- 弱い順に、4〜7、J、Q、K、A、2、3で、スートは4種類の、合計40枚。
- Aは取ると1点、J、Q、K、2、3は取ると1/3点(切り捨て)
- 最初に手札として10枚ずつ配る
- プレイはマストフォロー。切り札はなし。
- 1トリック行ったら、山札から1枚ずつドローし、相手に見せてから自分の手札に加える。
- 最後の1トリックを取ると、1点。
という感じ。
何がヤバイって、この手札を補充するときに、ドローしたカードを相手に見せてから手札に入れる、というルール。
このルールのおかげで、どのスートがなくなっているのかという情報が、ずっと保持されることになる。
しかも、切り札はないので、下手すると、どんなに強いカードを持っていても完封負けを喰らうという可能性がある。
なので、このゲームだとカウンティングがめちゃくちゃ重要で、それと、どのタイミングでトリックを取りに行くのかというのも重要になってくる。
押したり引いたり、リードの権利を巡って思惑がぶつかる感じ。
そして、ポイントが高いのはAなのだけど、それが1番強いカードでないというのも重要で、それを確実に得点にするためには色々考えないといけないし、あるいは逆に、相手の手札に補充されたのを見たら、それを取りに行く手段を考えたりと、かなり難しい。(※カウンティングが朝飯前の人にはそうでないのかも・・・?)
こんなにシンプルなのにw
ちなみに、このアプリを出しているところは、同じくイタリアの伝統的なトリテであるブリスコラ、伝統的なカードゲームであるスコパのアプリも出してる。
ブリスコラは個人的にはなんかモヤっとしていてあまり好きではないのだけど(※ブリスコラ・ブジャルダは別)、スコパは気楽に楽しめて面白いと思うので、オススメ。
あと、二人用トリテという意味では、以前にもこのブログで紹介したシュナプセンは面白いので、オススメ。
BirdHead
https://itunes.apple.com/jp/app/birdhead/id1063945765?mt=8&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog
あ、はい、宣伝ですw
ということで、最後に自分の作ったアプリである、BirdHead。
「5本のキュウリ」と兄弟の関係にある「22」というトリテを、ちょっとルールとカード構成を変えてアプリにしたもの。
作った自分で言うのもなんだけど、元になった「22」がとても面白いので、BirdHeadもすごく面白いw
ざっとルールを書くと、
- 4人専用。
- カードは2〜11が5枚ずつの、合計50枚。(スートはなし)
- スタートプレイヤーは同じランンクの1〜3枚のカードをリード。
- それ以外のプレイヤーは、リードされたカードと同じ枚数で、いずれかのプレイを行う:
- すでにプレイされているカード以上のカードをプレイ(複数枚ある場合、それぞれで比較)
- 手札で一番弱いカードをプレイ
- 一番強いカードをプレイした人(複数いる場合、その中で一番最後の人)が次のスタートプレイヤー
- 最後のトリックだけは同時に出して、一番数字が強い人(複数いる場合、全員)が、最後に出したカードを失点として受け取る
という感じ。
普通のトリテとはだいぶ違う感じだけど、やはり手札を調整するという部分は普通のトリテに通じるものがあって、なんとも悩ましい。
そして、一番最後のカードを出すときのドキドキ感がたまらないw
余裕だろと思ってたらダメだったり、ダメだと思ってたら他にもっと酷い人がいて助かったりw
あと、5本のキュウリと違って、複数枚リードが出来るというのがすごく大きくて、これがゲームをより楽しいものに変えてくれている。
元の「22」と比べてカード構成を横に広げてあるので、複数枚リードをしやすくなっていて、それをどう上手く使うのかが重要。
(といって、複数枚リードをしたいからと温存してたら逆にダメになったりすることもw
5本のキュウリが好きな人には、ぜひとも遊んでもらいたいかな。
めちゃくちゃ長くなったけど、こんなところで。
気になったゲームがあったら、気が向いたときにでもプレイしてみて欲しいと思う。
アプリは逃げないのでw
今日はここまで!
- 作者: 赤桐裕二
- 出版社/メーカー: スモール出版
- 発売日: 2014/11/28
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