いものやま。

雑多な知識の寄せ集め

ボードゲーム「モダンアート」について語ってみた。(その2)

昨日の続き。

今日は、相場操作ではなく、競り自体について語ってみたい。

f:id:yamaimo0625:20150922081808j:plain (バーで遊んだときの様子)

復習

まず、昨日のおさらいから。

「モダンアート」のポイントは、以下のとおりだった。

  • 「モダンアート」で点数が変化するは、自分が絵画を売るときか、自分が絵画を買うときだけ
    • 自分が絵画を売るとき
      お金が入ってくる→確実にプラスの得点になる
    • 自分が絵画を買うとき
      絵画が手に入る→あとで銀行に売るが、プラスになるかマイナスになるかは確定しない

このことから、自分の手元にある絵画をどれだけ高く売りつけられるかが重要で、それゆえ、相場の操作がゲームの肝になる、ということまで書いた。

どの競りを使うべきか

さて、どの絵画を競りにかけるかを決めたとして、競りの方法はどれがいいのか、という話。

「モダンアート」では、5種類の競りが用意されている。

  • 公開競り
    普通の競り。自由に値段を上げていっていい。
  • 一声
    時計回りで値段を上げていく。(ただし、一巡のみ)
  • 入札
    全員がベットするお金を握り、一斉に公開する。
  • 指し値
    競りに出した人が値段を決めて、買うか買わないかを順に選択する。
  • ダブルオークション
    2枚の絵画を一緒に競る。

もちろん、競りの方法を自由に選べるわけではないので、選べる場合にどれを使うのがいいのか、という話。

まず、昨日書いたとおり、競りに出す絵画の方針は、次のいずれかだった。

  • 今価値の高くなっている絵画を売りに出して、確実にお金にする
  • 手元に多い絵画を売りに出して、その絵画の価値を高める

この方針のいずれを行おうとしているのかが、まず重要になる。

もし、絵画を高く売りたいというのであれば、入札が一番いいと思ってる。
他の人の動向を知ることが出来ないので、確実に競り落とそうと思うなら、ちょっと多めに握らざるをえないから。
なので、ラウンドの最後の方で、それぞれの絵画の順位が見えてきたときに、より高めに絵画を売りつけたいというときに使うといいと思っている。

逆に、絵画の価値を高めたり、あるいは、他の人がその絵画の価値をどう思っているのかを知りたいという場合には、公開競りがいいと思ってる。
自由に値段を上げていくことが出来るので、その絵画の価値を上げたい、あるいは、その絵画の価値を上げてもいいと思っている人が競りに参加することになり、他の人の思惑を知ることが出来る。
なので、ラウンドの最初の方で、まだ売りに出された絵画の数が少なく、絵画の順位がまだフワッとしているときに、相場の動向を調べたり、あるいは、そこで自然と値が吊り上って、絵画の価値を高めようとする動きを出したいときに使うといいと思っている。

ただし、もちろん、入札も「誰がいくら握っていたのか」というのが情報となるので、ラウンドの最初の方で使うのもありだし、公開競りも値段を上げていくのがヒートアップして高値になる可能性があるので、ラウンドの最後の方に使うのも全然あり。
このあたりは、まさに場の空気を読む感じでw

そして、一声、指し値については、中間的なイメージ。
あえて言うと、一声は公開競りに近く、指し値は入札に近いかな?
一声の方は値段が上がっていくので、絵画の順位がまだフワッとしているときに使った方がいいし、指し値は自分で値段をつけるので、絵画の順位がある程度決まってきてから使った方がいいから、という意味で。
どちらかというと、これらの競りの使い分けは、自分の右側寄りの人に競り落としてもらいたい場合には一声を使って、左側寄りの人に競り落としてもらいたい場合には指し値を使うといい、ということがよく言われている。
というのは、一声の方は値段を上げられる後手番(=自分の右側寄りの人)の方が競りに有利だし、指し値は先に買うかどうかを決められる先手番(=自分の左側寄りの人)の方が競りに有利だから。
でも、正直そんな使い分けは難しいので、あまり考えてないw

最後に、ダブルオークション。
こいつは最強。
なぜって、前述のとおり、「モダンアート」では自分のターンでどれだけ高く絵画を売れるかがポイントとなるので、その売る行動を実質2連続で行えるダブルオークションは、確実にお金を手に入れるという意味でも、相場を操作するという意味でも、めちゃくちゃ強い行動になるから。
なので、ここぞというときにこのカードを切って、大量にお金を手に入れたり、相場の価値をガラッと変えていきたい。

余談だけど、ダブルオークションのカードを1枚だけで出した場合のルールは、2種類ある。
もう1枚のカードを出した人と折半するというルールと、もう1枚のカードを出した人が全部もらうというルール。
前者の方が自然な感じもするんだけど、後者の方が妥当だという理由を教えてもらって、すごく納得したので、ちょっと紹介。

ダブルオークションの1枚出しというのは、実はめちゃくちゃ問題のある行動で、それはなぜかというと、他の人の絵画を売る手番が飛ばされてしまうから。
例えば、Aさんがダブルオークションの1枚出しをして、Bさんがもう1枚を出せなくて、Cさんがもう1枚を出した場合、その競りが終わったあとに次に絵画を競りにかけるのはDさんになり、Bさんが絵画を競りにかける手番が飛ばされることになる。
そうなると、Bさんはめちゃくちゃ不利益を被ることになる。
というのも、これまで何度も言及したとおり、「モダンアート」の肝は自分の手元の絵画をどれだけ高く売りつけられるかなので、絵画を競りにかける手番が飛ばされるというのは、その確実な得点行動をする機会をを1回失ってしまうことになるから。
そこで、後者のルールにすると、ダブルオークションの1枚出しをしたプレイヤーもその機会を1回失うことになり、しかも他のプレイヤーに絵画を1枚プレゼントするというオマケ付きになるので、この行動が限りなく損な行動になってしまい、それゆえ抑止力として働くようになる、と。
(だったら、ダブルオークションの1枚出し自体を禁止すればいいのでは、となりそうだけど、場合によってはそこまで損をしてでも値段を確定させることが必要になることもあるので、ルールとしては許可されてる)

「自分で買取る」のは損か得か

「モダンアート」をやっているとたまに見かけるのが、ちょっと無理してでも自分で買取ろうとする人。

この行動の意味は、「自分だけが得できるようにしよう」ということ。
すなわち、競りで絵画の売買が行われると、「絵画を売った人」と「絵画を買った人」の二人が得点行動をしたことになる。
(もちろん、「絵画を買った人」は、必ずしもプラスの得点行動になるとは限らないのだけど)
ところが、自分で買取ってしまえば、そのターンで得点行動を出来たのは自分だけになり、他に人に得を(損も)させないことになる。
なので、自分で買取ってしまおう、と。

個人的には、この行動は損かな、と思っている。
というのは、不確実性が伴うから。

前述の通り、絵画を売ってお金を手に入れた場合には、確実にプラスの行動になっている
それが、わずかな金額であったとしても。
一方、自分で絵画を買取った場合、その行動がプラスの行動になるかどうかは、ラウンドが終わるまで確定しない
「モダンアート」では絵画は株と同じなので、絵画を買うというのはリスクを伴う(=分散がある)。
なので、確実にプラスになる行動を捨ててまでしてリスクを引き受けるというのは、よほどのリターンが見込めないと、割に合わない。

それに、「自分だけ得できるようにする」としていたけれど、実はこの行動で全員がちょっとずつ得をしていたりする。
なぜかというと、それはお金の総量の問題。
「モダンアート」では、お金が入ってくるのはラウンドの終わりだけで、それ以外では、「自分で買取る」ということをしない限り、お金の総量に変化は生じない。
これの意味するところは、ラウンド中、お金にインフレもデフレも起こらず、その価値は一定しているということ。
けど、ここで「自分で買取る」という行動をした場合、話はちょっと変わってくる。
お金の総量が減ることになり、結果、デフレが起きる(=お金の価値が高まる)ことになる。
そうなると、「自分で買取る」ということが行われたタイミングで、手持ちのお金の量が変化していない「買取りを行っていないプレイヤー」は、その手持ちのお金の量に応じた得をして、一方、「買取りを行ったプレイヤー」も手持ちのお金の量に応じて得はしているのだけど、銀行にお金を払ってしまっているので、その得の量は少なくなってしまっている。
(なんと、「モダンアート」で経済の勉強が出来ている! デフレになればなるほど、お金持ちが得をする!)

ラウンドを終わらせるのは、損か得か

再三言っていることだけど、自分が絵画を売りに出す手番というのは、確実にお金が手に入るので、めっちゃ重要。
ラウンドを終わらせる場合、この機会を1回失うということになる。
なので、自分が競り落とした絵画の価値を早く確定させたいがために、サクッとラウンドを終わらせてしまう人がいるのだけど、それはちょっと損な気がする。

ただし、もちろんそんな悠長なことを言ってられない場合もある。
ここで確実に値段を確定させないと、自分の競り落とした絵画が紙くずになる場合とか、収支がマイナスになってしまう場合なんかは、ラウンドを終わらせる方が得になることもある。
ある意味、最強の相場操作と言えるかもしれない。
このあたりは、他のプレイヤーがどの絵画の値段を上げようとしているのかがすごく重要で、例えば自分が値段を上げたい絵画を次のプレイヤーも持っているなら、そのプレイヤーもその絵画の値段を上げるように行動してくれるだろうから、値段を確定させるのはそのプレイヤーに任せて、自分はちょっとでも値段がつきそうな絵画を売った方が得になるかもしれない。

このあたりを理解しているプレイヤー同士が遊んだ場合、このように、少しでも自分が絵画を売る機会を失わないようにするので、ラウンドが終わるのが遅くなり、それまで人気のなかった絵画でも人気が高まってくる可能性があるのが面白いところ。
けど、それに期待しすぎてはいけないし、結局は場の流れをうまく読めるかどうかが重要になってくる。

おや?
これだけ語ってるのに、「相場観」の話が一向に出てこないw
だから、「相場観」なんていうのはそこまで重要じゃないんだってw

一応、モダンアートでの絵画の相場については、明日ちょこっと書いてみたい。

今日はここまで!

モダンアート (Modern Art) 日本語版 ボードゲーム

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